【一級建築士】令和4年度製図試験「基準階の合計3,000㎡」について|なぜ解釈が2つに分かれたのか?
私は令和4年度一級建築士「設計製図の試験」を受験しました。
試験後某SNSを開くと「基準階の合計3,000㎡」の議論が沸き上がっている…!
最初は何のことだか分からず、時間が経つにつれ真っ青に。
そう、私はもしかしたら問題の解釈を誤ったのかもしれません。
…真相を知るのは試験元のみ。
- 「なぜ、こんなことに?!」
- 「不合格になったらどうしよう…失格にしないで…」
- 「以後同じような出題がされたら、どう回避すれば良い?」
試験が終了した今もずっと心に引っかかっており、モヤモヤを成仏させたい一心でこの記事を書いています。
追記:2022年12月26日
筆者は2022年度製図試験に不合格(ランクⅣ)でした。
「基準階の合計3,000㎡」とは?
「基準階の合計3,000㎡」とは?
…「(3)要求室」に記載されている、貸事務室の「床面積」が2つの意味に解釈できる事象のこと。
「2つの意味に解釈できる」とは、
- 貸事務室A+貸事務室B=3,000㎡(多数派)
- コアを含む基準階面積=3,000㎡(少数派)
のことを指します。
ちなみに私は②を選択。というか…
試験中に何回問題を読んでも、①の考え方は1mmも思い浮かびませんでした…
令和4年度の問題は「階数が自由」であったことから、受験生の解釈でプランの方向性が大きく変わります。
つまり、解釈を間違えると(合否が出ていないので間違いかどうかも不明)一気に不利になり、今までの努力が一瞬で水の泡になる。という事態が発生します。
私の心からのお願いは、どうか『どちらの解釈をしても合格基準に乗せてほしい』『即不合格の判断をしないでほしい』ということです。
①貸事務室A+貸事務室B=3,000㎡
面積表で「(3)貸事務室A及び貸事務室Bの合計床面積を記入する。」と指示。
したがって「貸事務室A+貸事務室B=3,000㎡」と推測できる。
②コアを含む基準階面積=3,000㎡
道路高さ制限から逆算した建物の床面積・セキュリティ・ゾーニングを考慮すると、基準階には貸事務室A・貸事務室B(+トイレや倉庫などのその他必要な室)しか計画できない。
したがって、表の床面積は「基準階の合計(貸事務室A・Bのフロア)=3,000㎡以上」と解釈できる。
なぜ、解釈が2つに分かれたのか?
ポイントは「基準階」の意味をどう解釈したのか。
- ①では、「基準階=単に階数」と解釈した。
- ②では、「基準階=同一平面の階が複数の層として重なる時の代表的な平面計画」と解釈した。
このポイントは、私自身が考えに考え抜いた結論です。
②の解釈についてですが、例えば平成21年「貸事務所ビル」では、
“貸事務室の基準階有効率について、
[(基準階の賃貸部分の床面積/基準階の床面積)×100(%)]に配慮”
という文言が記載されていました。
この文章の『基準階』の部分を
「同一平面の階が複数の層として重なる時の代表的な平面計画」
と差し替えても、きちんと日本語として成立します。
つまり『基準階』の言葉は
- ①の単に階数という意味だけでなく、
- ②の平面計画の意味を含む言葉として使用されることがある。
ということです。
他にも、
「基準階を決めれば、プランがまとまる」
「基準階の検討を優先的に行う」
「基準階の規模を想定する」
といった使い方がありますが、これも②の意味として捉えることができます。
なお、今回の問題では、(3)要求室の特記事項に、「基準階には、貸事務室Aと貸事務室Bを計画する」と既に記載があります。
あえて床面積の欄に「基準階の合計」と追記したことにより、混乱が生じたように感じます。少なからず、私は「基準階の合計」の一言におもいっきり引っ張られました。
「要求している主要な室等の床面積の不適合」に該当する?しない?
昨年度試験の合格基準では、下記のことが記載されていました。
令和3年一級建築士試験「設計製図の試験」合格基準等について
ランクⅢ及びランクⅣに該当するものが多く、具体的には以下のようなものを挙げることができる。
・設計条件に関する基礎的な不適合:「要求している主要な室等の床面積の不適合」
現在(記事公開時:2022年10月18日)は合格発表前であるため、「基準階の合計3,000㎡」の解釈が②でもOKだったのか。①でなければならないのか。は不明です。
前述のとおり、令和4年度の試験は解釈により床面積の合計が変わるため、面積表だけ確認してランクⅢまたはランクⅣにする。という最悪の事態は避けてほしいと切に願っています。
以後同じような出題がされたら、どう回避すれば良い?
試験後「蓋を開けてみたら解釈が違った」という経験して、想像していたより強く恐怖を感じました。
この記事をここまで読んでくださった皆さんも、明日は我が身かもしれません。
私自身も二度と苦い時間を過ごさないように、反省をまとめてみたいと思います。
私は図面用紙の面積表に「貸事務室A+貸事務室Bの合計」を記入している時に、一度違和感を感じました。
面積が3,000㎡に満たないのに、なぜあえて書かせるのだろうと。
でも問題文を再度確認し「基準階の合計3,000㎡以上」だからOK!と自信満々に回答しました。
なぜなら基準階には「貸事務室+その他必要な室」以外計画しておらず、要求図書に沿った「基準階」だったのですから…
まさか、この文言が重要な鍵を握っているとも知らず….
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
製図試験は極限の緊張状態で大量の文章を正確に解読し、組み立てる力が要求されています。
そしてミスと判断されると、容赦なく不合格通知を受ける厳しい試験です。
どうか今回の床面積の件が、ミスと判断されませんように。